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福岡地方裁判所小倉支部 昭和36年(ワ)560号 判決 1963年4月08日

原告 守田君子 外一名

被告 梅木一士

主文

被告は原告守田に対し金五十万円およびこれに対し昭和三十八年三月二十六日からその完済まで年五分の割合による金員を支払うこと。

原告広渡の請求を棄却する。

訴訟費用は、被告に生じた費用は被告と原告広渡との間においてはその二分の一を原告広渡の負担としその余は各自の負担とし、原告守田と被告との間においては全部被告の負担とする。

この判決は、原告守田において金十五万円の担保を供するときは第一項にかぎり仮りに執行することができ、被告において原告守田のため金三十万円の担保を供するときは右仮執行を免れることができる。

事実

(申立)

(原告両名訴訟代理人の申立)

「被告は原告両名に対し金百万円およびこれに対し昭和三十八年三月二十六日からその完済まで年五分の割合による金員を支払うこと。

訴訟費用は被告の負担とする。」

旨の判決および担保を条件とする仮執行の宣言とを求める。

(被告訴訟代理人の申立)

原告両名の請求を棄却する。訴訟費用は原告両名の負担とする。

旨の判決および被告敗訴の場合における担保を条件とする仮執行免脱の宣言とを求める。

(陳述した事実)

(請求の原因)

一、1 原告両名は共同して、昭和三十五年十月十五日、被告からその所有の別紙目録<省略>記載の家屋(以下本件家屋という。)を

(1)  賃料月四万円当月分を前月末日かぎり被告方に持参して支払う。

(2)  賃貸借につき公正証書を作成すること。

(3)  賃貸借期間は公正証書作成の日から三年とする。

(4)  使用目的は料亭経営であつて、料亭経営に必要な調理場および居室を被告において増改築をすること。

(5)  被告は原告両名の使用分を計算するための電気、ガス、水道の各メーターの設置工事をすること。

(6)  原告両名は公正証書作成の日に被告に対し敷金として金七十万円を支払うこと。

(7)  原告両名は被告に対し前記(4) および(5) の工事分担金および営業権譲渡の代償として権利金百万円を支払うこと。

(8)  被告は原告両名に対し料亭営業に必要な食卓膳食器類、客用座布団を無償で貸し渡すこと。

(9)  原告両名は本件家屋について客室など(別紙図面<省略>朱線部分参照)を増築することができること。

(10)  原告両名は被告に対しただちに金五十万円を支払うものとし右金員は公正証書作成の時において敷金の内入とみなすものとする。

との約にて賃貸借契約を結び、同日前記約定にもとづき原告に対し金五十万円を支払つた。

2 そして、原告両名と被告は、同年十一月五日右賃貸借について公正証書を作成するとともに、原告両名は被告に対し権利金(1(7) )として金百万円敷金残(1(6) および(10))として金二十万円合計金百二十万円を支払つて、本件家屋の引渡を受けた。

二、(本来的主張)

(一)1(1) 原告両名は、被告に対し、前記約定(一1の(4) および(5) )にもとづき、客室等の増改築および各種メーターの設置を求めたが被告は、右要求に応じないため、右メーターの設置工事を原告両名の費用で行い、同年十二月本件家屋において料亭を開業することができた。

(2) そして、原告両名は、昭和三十六年二月前記約定(一1(9) )にもとづき、本件家屋を増築しようとしたところ、被告はこれを拒絶したため、増築工事をすることができない。

(3) のみならず、被告は、前記約定(一1(8) )に違反し、料亭経営に必要な備品を持ちかえつた。

2 右のような被告の不信行為により、本件家屋において料亭を経営することは困難になり、原告両名は、やむなく同三十六年五月頃料亭営業を中止し、しばしば、1(2) 記載の契約違反を解消する旨催告したが、被告は右催告に応じないから、原告両名は、同年七月三十一日被告の債務不履行を理由として本件家屋の賃貸借を解除する旨意思表示をし、右意思表示は、その頃被告に到達し、本件家屋の賃貸借は適法に解除されかつ、原告両名は、同日被告に対し本件家屋を明け渡した。

(二) したがつて、被告は原告両名各自に対し、原状回復義務の履行として権利金のうち金七十五万円を返還すべき義務がある。

1  権利金の額は賃借期間に応じて算出されるところ、原告両名は、料亭経営のための賃借期間三年の権利金として金百万円を支払つていたにもかかわらず、賃貸借契約を七ケ月で解除し本件家屋を被告に明け渡したから本件家屋をわずか賃借期間の五分の一弱しか利用していない。

2  しかも、右賃貸借の終了は、被告の債務不履行を理由とする契約の解除にもとづくものであるから、権利金は、賃貸借の残存期間(二年三月)に相当する分は本件家屋の引渡を受けた時から原告両名にもどすのが相当である。

3  よつて、原告両名は、被告に対し残存期間に相当する分(五分の四強)として金七十五万円全額の返還を求めることができる。

(三) 原告両名は被告の債務不履行により損害を蒙つたから、被告は賠償すべき義務がある。

1  原告両名は、賃貸借の約定どおり、本件家屋において料亭経営のため、浴室調理場等の増改築をし、その費用として共同で昭和三十五年十一月五日から同三十六年七月三十一日まで金五十万円以上を支出した。

2  ところが、被告の債務不履行により、前記のように、本件家屋において料亭を営むことができなくなり、前記金員を回収しえないことになつたから、被告は原告両名各自に対し右金額を損害として賠償すべき義務がある。

3  それゆえ、原告両名は、被告に対し、損害賠償として金二十五万円の支払を求めることができる。

三  (予備的主張)

かりに、被告の債務不履行による契約解除がその効力を生じないとしても、

(一)  原告両名と被告は、昭和三十六年七月三十一日本件家屋についての賃貸借を合意により解除し、その頃本件家屋を被告に引き渡した。

(二)1  それゆえ、被告は権利金百万円を支払つたのにかかわらず、本件家屋を賃借期間の五分の一弱しか利用していない。

権利金は、賃借期間の長短に応じてその価額が定まるのであるから、前記賃借権の残存期間(二年三月)に相当する分は、本件家屋の引渡を受けた時から原告両名に返還するのが相当である。

2  よつて、原告両名は、被告に対し、残存期間に相当する分(五分の四強)として金七十五万円の返還を求めることができる。

(三)1  原告両名は本件家屋において料亭経営のため、浴室調理場などの増改築をして改良をし、その費用として昭和三十五年十一月五日から同三十六年七月三十一日まで共同で金五十万円以上を支出し、その改良の結果はそのまま残存し、被告においてその利益を享受している。

2  したがつて、被告は、不当利得として本件家屋の引渡を受けた時から同額の金員を原告両名に返済すべきである。

3  よつて、原告両名はその内金二十五万円の支払を求める。

四  以上の次第で、原告両名は、被告に対し、合計金百万円およびこれに対し昭和三十八年三月二十六日からその完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(答弁)

原告の請求原因事実中、原告広渡の関係において、すべて否認する。同原告は、原告両名主張の賃貸借の連帯保証人にすぎず、契約当事者ではない。原告守田の関係において、一、1のうち、(1) (3) (4) (6) (8) (10)は認めるが、その余は否認する。もつとも(7) について老舗料として金百万円を受領することを約したことは認める。2は認める。もつとも、日時は昭和三十六年十一月十五日であり、原告ら主張の「権利金」の性質は前述のとおり老舗料である。二(一)はすべて否認する。もつとも本件家屋の賃貸借契約は、昭和三十六年七月三十一日原被告の合意にもとづき解除され、原告守田に対し敷金残六十二万円(敷金七十万円のうちから滞納家賃二月分八万円を控除した残額)を返済した。(二)および(三)は、否認する。三について(一)は認める。(二)および(三)は否認する。四について否認する。

(立証)<省略>

理由

(賃貸借の当事者-原告広渡は当事者でない。)

本件家屋の賃貸借(その内容については、のちに判断する)が原告ら主張のように被告と原告両名との間に成立したか、被告主張のとおり、被告と原告守田との間にだけ成立したかについて判断するに、成立に争いのない甲第二号証、乙第二、三、四号証に被告本人の供述と証人松本操の供述の一部に弁論の全趣旨を総合すると、本件家屋の賃貸借は、被告と原告守田との間にのみ成立したものと認めるのが相当である。もつとも、成立に争いのない甲第一号証に原告本人守田、同広渡の各供述に証人松本操の供述の一部には、原告広渡ないし原告両名が賃借人であるかのような供述ないし記載があるけれども、右各証拠に前掲各証拠を検討すると、原告守田と原告広渡とは深い関係にあり、実際上原告広渡が財政の負担を負つていたから本件家屋の賃貸借の交渉の当初には原告広渡を賃借人とする案もでたが、結局、交渉の結果最終的には原告守田のみを賃借人とする合意になつたことが認められるのであつて、賃貸借当事者についての、甲第一号証の記載および原告本人守田同広渡の供述は、そのまま信用しがたいのであり、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

したがつて、本件家屋の賃借人たることを前提とする原告広渡の請求は、他に判断を進めるまでもなく、失当といわねばならない。

(賃貸借の内容)

そこで、以下、原告守田との関係についてのみ、その請求の当否について判断を進めることとする。

原告守田との関係においては本件家屋について原告主張の一1の(1) 、(3) (4) 、(8) (10)の約定で賃貸借の成立したことは当事者間に争いがなく、前記甲第三号証によると(2) の約定の成立したことを認めることができる。

そこで、(5) (7) 、(9) の約定が成立したかどうかについて判断する。

(各種メーター設置工事を賃貸人の負担とする約定関係)

まず(5) の約定の成否について判断するに、前記甲第一号証と原告本人守田の供述に被告本人の供述の一部と弁論の全趣旨を加えると、(5) の約定は被告および原告守田との間において成立していたが、被告が右工事になかなか着手しないため、原告守田が本件家屋における料理屋の開店を急ぎ一まづ同原告の費用で電気、ガス、水道の各メーターを設置したことを認めることができ、右認定に反する部分の被告本人の供述の一部は前掲各証拠に照らし信用しがたく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

(権利金百万円の約定関係)

つぎに(7) の約定の成立について判断するに、前記甲第一号証といずれも成立に争いのない乙第一、二号証と証人森山義夫、同松本操に原告本人守田同広渡と被告本人の各供述に弁論の全趣旨を総合すると、被告はもと本件家屋において翠芳園の名で料理屋を営んでいたところ、原告守田がやはり本件家屋において同じく料理屋を営むようになつたこと、および貸主たる被告が前記認定のとおり、各種メーターの設置工事の費用を負担する約束であつたことから、原告守田は被告に対し営業権の譲渡の対価および右工事費の分担金の両者をこみにして「権利金」として被告に対し金百万円を交付することとする約定が成立したことを認めることができ、右認定に反する証拠はない。

(客室などの増改築許可の約定関係)

最後に(9) の約定の成否について判断するに、前記甲第一、三号証に証人田代留吉、同森山義夫の各供述と証人松本操および原告本人守田、同広渡および被告本人の各供述の一部に弁論の全趣旨を総合すると

原告守田は被告が本件家屋の賃貸借の(4) の約定にもとづいて施行する一部の修理程度では料理屋の経営に必要な室数のないことを憂え、当初から被告に対し本件家屋の増改築の許可を申し入れたが、被告も右申入を明らかに拒絶することがなく、かえつて好意的に処理する旨を暗示していたが契約の締結時には、一応原告守田(賃借人)は、被告(賃貸人)に対し本件家屋の増改築その他現状を変更しようとするときには賃貸人たる被告の承認を得てからすることを約した(甲第一号証第十条、第三号証第十条各参照)。そして、本件家屋の引渡を受けて後、原告守田は、被告に対し、本件家屋の増改築の承認を求めたが、右引渡後間もなく原告守田が被告の承認を得ることなく庭にへいを設置したため、被告の気げんをそこね、爾来原告守田と被告との間に感情的対立が生じてしまい、被告は結局原告の増改築の申入を断つた。

以上の事実が認められる。右認定に反し、証人松本操、同西村節子原告本人守田、同広渡の各供述の一部には、被告が本件家屋の増改築を契約締結時から承諾していた趣旨の供述があるけれども本件賃貸借の基本となるべき賃貸借契約書(甲第一、三号証)には、賃借条件などについてくわしく記載してあるのに、原告守田主張のような約定についてはいずれの契約書にも記載されておらず、しかも、賃借人たる原告守田みずから被告に対しあらかじめ家屋の増改築についての承認を求めていることからみても、本件家屋の増改築について賃借人たる原告守田に対しあらかじめこれを許可していたというような約定が成立していたと認めることはできず、せいぜい、賃貸人において、増改築について好意的に考慮しようとする趣旨であつたにすぎないものと認められる。したがつて、原告守田の主張にそう前記各供述部分はそのまま信用しがたい。したがつて、一、1、(9) の約定は成立していなかつたものと認められる。

(本来的主張に対する判断-被告の債務不履行の有無)

ところで、原告守田は、被告の債務不履行を理由として契約を解除した旨主張するのに対し、被告は合意解除である旨抗争するから、判断するが、原告の主張する債務の不履行の趣旨はかならずしも明確でないが原告本人守田同広渡の各供述に弁論の全趣旨を加えると、被告の債務不履行なるものは、要するに、被告が、賃貸借契約の約定に違反し本件家屋の増改築を拒絶したということにあることが認められるところ、本件家屋の増改築を原告守田に許すべき旨の約定の成立していないことは、前記認定のとおりであるから、被告には債務不履行はないというべきである。

なお、被告が電気、ガスなどのメーターの設置工事をする旨の約定に違反して右装置を施さず、ために原告守田みずから右設置工事をしたことは前記認定のとおりであるが、原告みずから右の設置工事をしてしまつた以上設置工事の債務不履行を理由として契約を解除することは許されず(なぜならば催告をされても賃貸人は賃借人の行為によりその債務を履行しえなくなつているのである)、あとはただ単に不当利得などの問題として考えれば足りるのであり、また、被告が料亭経営に必要な食卓食膳食器類客用座布団を持ち返つたという債務不履行については、本件においてはなんら立証されていない。

したがつて、被告の債務不履行を原因とする契約解除の主張は失当であり、右契約の解除を前提とする原告守田の本来的主張は他に判断を進めるまでもなく失当である。

(予備的主張に対する判断)

そこで、原告守田の予備的主張について、判断を進めるに、原告守田と被告が昭和三十六年七月三十一日賃貸借を合意解除し、その頃被告が本件家屋の引渡を受けたことは当事者間に争いがない。

(権利金の返還請求)

原告守田は、賃貸借が期間の途中で合意解除された以上、残存期間に相当する分の権利金は返済さるべきであると主張するのに対し被告は強くこれを争つているところ、まず、本件における「権利金」の性質について検討するに、本件の「権利金」百万円は原告守田から被告の工事費分担金および賃貸人の営業権譲受の対価として被告に交付されていることは、前記認定のとおりであるところ、被告が本件家屋に対し賃貸借の約定にもとづいて施行した工事費の額については本件に提出された証拠をもつてはこれを確定することはできないが、原告本人守田同広渡、被告本人の各供述によると前記約定による工事としては、被告はわずかに仲居の居住用室および配膳室を一部改修したにすぎないことが認められ、そのために支出した金額も多額でないものと判断され多くとも金四万円を超過していないものと推断される。

したがつて、本件においては権利金のうち少なくとも九十六万円はいわゆる営業権の代償として交付されたものと認むるのが相当である。

ところで、賃貸借契約の賃借期間が定められている場合において営業権の代償として支出される権利金については賃借人としては、賃借期間内の営業により利益をあげて回収しうることを前提としてその額を定めるのであり、しかも賃貸人としては右期間経過後においてふたたび権利金を徴収することもありうるのであるから、権利金の額をきめることにおいて賃借期間はとくに重要な関係を有し一定の範囲の期間については長期間では高く短期間では低く定めるという相関的関連を有すると考えられ、とくに一年ないし数年という短期の賃貸借においては右賃借期間は権利金の算定について重大なる関係を有すると判断される。それゆえ、賃借期間の途中でなんらかの理由で賃貸借が終了したとき、とくに賃借人の責に帰すべきでないような事由により賃貸借が終了したときは権利金全額を賃貸人にそのまま保持させておくということは、賃貸人に実質上不当に利益を与えて契約当時の当事者の真意に合致しないものと解すべきであるから、このようなときには賃借期間に比例して計算して残りの期間に相当する分を賃借人にもどすのが公平的見地からみても相当である。一たん賃借物件を利用した以上賃貸借が終了しても、権利金を賃借人にもどす必要がないという考え方はあまりに形式的に割り切りすぎることになり、当裁判所において採用することはできない。

そこで、このような見地に立つて本件を検討してみると、賃借期間は賃貸借の公正証書の作成された昭和三十五年十一月五日から三年間であり原告守田が賃借人として利用した期間は同年十一月五日から同三十六年七月三十一日までのわずか九月間であるのに反し、残存賃借期間は二年三ケ月間という三分の二以上の期間であるから、まさに残存期間に相応する分は、賃借人にもどすのが相当である。そして、右三年間の営業権の代償の性質を有する権利金は前記のとおり九十六万円であるから、残存期間二年三ケ月間に対応する権利金の額は金七十二万円ということになる。

したがつて被告は残存期間の権利金の額として原告守田に対し金七十二万円を支払う義務があるところ、原告守田はその内金三十七万五千円の支払を請求している(原告両名にて金七十五万円の支払請求をしているから、平等分割されることになる)から同原告の請求は正当というべきである。

(支出金員の不当利得返還請求)

つぎに改良工事について支出した金員の返還請求について判断するに証人森山義夫および原告本人守田、同広渡の各供述に弁論の全趣旨を加えると、原告守田は本件家屋の改良工事(電気、ガス、水道関係の工事を含む。ただし膳などの動産用具を除く)にすくなくとも金三十万円以上支出していること、右改良工事の結果は本件家屋を被告に引き渡したのちもそのまま改良の効果が存続していることが認められ(この認定に反する証拠はない)、したがつて、特段の事情のないかぎり(このような事情は本件では証拠上なんらでていない)被告において原告守田が支出した金額に相応する利益を享受しているものと推認される。

それゆえ、賃貸借が合意解除により終了し、貸主が本件家屋の引渡を受けた以上、貸主たる被告は原告守田に対し同額の金額を不当利得として返還すべき義務があるというべきである。

したがつて、原告守田は被告に対しその内金二十五万円の弁済を請求することができるところ、同原告は、その内金十二万五千円の支払を請求している(原告両名にて金二十五万円の支払請求をしているから平等分割されることになる)から、原告守田の請求は正当というべきである。

(むすび)

それゆえ原告守田は、被告に対し、右合計金五十万円およびこれに対し、本訴提起後の昭和三十八年三月二十六日からその完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を請求することができるから、同原告の本訴請求は正当であるが原告広渡の請求は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八十九条第九十二条を仮執行の宣言および仮執行免脱の宣言については同法第百九十六条を適用し、主文のとおり、判決する。

(裁判官 奈良次郎)

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